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BCR/ABL融合タンパク質は骨髄幹細胞を形質転換させる。慢性骨髄性白血病(CML)および急性リンパ芽球性白血病(ALL)の一部は、BCR/ABLタンパク質の発現が原因となっている。このような知識が得られているにも関わらず、ABLによるガン細胞の増殖を抑制する特定のツールに応用されてはいない。CGP57148Bとは、ABLタンパク質キナーゼに対する1種のATP競合的阻害剤である。即ち、in vitroおよびin vivoの両者においてABLのキナーゼ活性を阻害し、v-ablおよびbcr/ablトランスフェクタントの増殖を阻害する。また、あるCML患者においては、増殖因子の存在下で骨髄(BM)由来コロニーのin vitro形成を阻害する。今回の試験の目的は、CGP57148Bが、生検細胞と培養細胞、白血病細胞と正常細胞、BCR/ABL陽性と陰性細胞に対して自発的増殖を促す作用を持つか、またその作用機序について検討するものである。BCR/ABL陽性白血病由来の6細胞株(K562、BV173、KCL22、KU812、MC3、LAMA84)、13種のBCR/ABL陰性細胞株、即ちガン細胞(KG1、SU-DHL-1、U937、Daudi、NB4、BN4.306)と正常細胞由来の株(PHA芽細胞、LAK、線維芽細胞、LCL、腎臓上皮細胞、内皮細胞、CD34+細胞)、また生検採取した14の白血病細胞について、トリチウム・チミジンの取り込みによって分析した。BCR/ABLタンパク質のin vivoリン酸化はウエスタンブロットによって評価し、アポトーシスはアネキシンV/プロピジウム結合法によって検出した。分化誘導は複数の抗体を用いて免疫蛍光法で検討した。
BCR/ABL+細胞株は6株全てが用量依存性に自発的増殖速度が阻害されたが、その後分化には至らなかった。投与の数分以内にBCR/ABLタンパク質の脱リン酸化が引き起こされ、16~24時間で(細胞増殖を繰り返す)cycling
cellが減少してアポトーシスが誘導された。3μM以下の濃度では、BCR/ABL陰性の正常細胞およびガン細胞株でDNA合成の顕著な阻害は認められなかったが、線維芽細胞およびCD34+細胞のみは例外的に阻害された。Ph+ALL患者2症例およびCML連続症例12例から採取された生検試料を用いた場合も、増殖の阻害が認められた。これらの試料ではアポトーシスの誘導も観察された。
CGP57148Bの活性は、ex vivoに単離された細胞、もしくは培養細胞を用いた簡単な増殖試験によって評価することが可能であり、外因性の増殖因子を添加する必要もない。この分子はBCR/ABLキナーゼ活性阻害によってその効果を発揮し、その結果細胞分化ではなくアポトーシスを開始させる可能性がある。数種の正常細胞も影響を受ける。
これらのデータは、CGP57148Bに関する初期臨床試験の実施を支持するものである。そして、BM細胞および線維芽由来細胞に対する毒性を詳細に検討する必要があると思われる。患者をin
vivoでモニタリングし、白血病細胞のアポトーシス誘導を焦点とした検討を進める必要もあるだろう。
キーワード:
BCR/ABL、CML、ALL、チロシンキナーゼ阻害剤、アポトーシス